CSとESには、どのような違いがあるのでしょうか。両者の意味を正しく理解していないと、企業の業績アップはおろか、顧客を満足させるのも難しいでしょう。
そこで、今回はCS・ESの概要や重要性、双方の関係性を解説します。あわせて、ESを向上させる方法も紹介するため、職場環境を見直す参考にしてください。
CS・ESとは
「CS」と「ES」は、何を表す指標なのでしょうか。
CS:顧客満足度
「CS(Customer Satisfaction)」は、顧客満足度を指します。商品・サービスを顧客が利用した際の満足度を指標化したものです。
顧客の購買行動は商品・サービスの品質や価格、企業への信頼度など、複数の要素から成り立ちます。商品・サービスに満足すればリピーターとなり、第三者にも購入を勧めるかもしれません。さらに、企業への信頼度が増すと、他の商品・サービスの購入に至ることもあります。つまり、CSの向上は企業にとってさまざまな好循環をもたらすのです。
CSは、アンケートを実施して商品・サービスの満足度を数値化します。なお、CSは「知覚水準(商品・サービスの満足度)」と「期待水準(商品・サービスへの期待度)」のバランスが大切だと言われています。知覚水準が期待水準を上回ったときこそ、CSは向上するのです。
ES:従業員満足度
「ES(Employee Satisfaction)」は従業員満足度を指します。業務内容や職場環境、人間関係などに対する従業員の満足度を指標化したものです。これが高いと従業員のモチベーションアップだけでなく、企業の業績アップにもつながります。なぜなら、最適な職場環境は従業員のパフォーマンスを向上させ、商品・サービスの品質や生産量の向上につながるからです。
ESはさまざまな項目から満足度を評価します。調査時の項目は以下のとおりです。【職場環境】
- ■労働条件
- ■給与
- ■福利厚生
【業務内容】
- ■仕事内容
- ■やりがい
- ■人事評価
【人間関係】
- ■同僚
- ■上司
- ■部下
CSとESの関係性
従業員が最適な職場で高いモチベーションを維持して業務に臨めば、それだけ質の良い商品・サービスを顧客へ提供できます。それを購入した顧客は品質の高さなどに満足し、同商品・サービスをリピートするでしょう。また、商品・サービスの良さは口コミとして広がり、顧客の創出へとつながります。
その結果、企業の業績は向上して給与や福利厚生の改善を図れます。この流れが上手く継続すれば、企業は好調な業績を維持し続けることが可能になるでしょう。
このように、CSとESは業績アップの鍵を握る、いわば車の「両輪」みたいなものです。どちらか一方が欠けてもまっすぐ走れません。双方が常に揃っていないといけないのです。
ESを向上させる方法
ESを向上させるにはどうすれば良いのでしょうか。3つの方法を見ていきましょう。
福利厚生を整える
福利厚生が充実していると、従業員は企業から大切にされていると感じやすいです。特に、衣食住に関する金銭的な補助はES向上に効果的です。制服の支給や家賃補助、食堂の併設などは生活費の削減につながり、従業員から喜ばれます。生活の基盤が整うことで仕事への意欲が向上し、業務の質がアップするでしょう。
ビジョンの共有をする
従業員が企業のビジョンを認識すると、企業の一員である自覚や、連帯感が生まれやすいです。帰属意識にもつながり、納得して仕事に取り組めるようになるため、ESの向上にも効果的です。
そこで、トップダウンでビジョンの共有を行い、従業員の意識改革に努めてください。そして、ビジョンを部署やチーム単位にまで落とし込みましょう。業務の目的が明確になれば従業員のモチベーションアップが見込めます。
なお、ビジョンの共有は従業員に強制してはいけません。強制してしまうと「やらされている感」が強くなり、従業員は負担を感じやすいです。そうなるとESが低下してしまい、ビジョン共有そのものがデメリットになってしまいます。
コミュニケーションを促進する
コミュニケーションの活性化は人間関係を円滑に保ち、モチベーションの向上につながります。企業のコミュニケーション量が少なく、殺伐とした職場環境ではビジョンの共有もままならないでしょう。
そこで、社内SNSを利用したりフリーアドレス制を導入したりして、コミュニケーションの基盤作りに努めてください。上司や部下の垣根を超えたコミュニケーションが可能になれば、働きやすい職場環境の構築につながります。さらには、世代を超えたコミュニケーションにより、新たな「気付き」に出会えるかもしれません。
限られた部署やチームでは気付けなかった新しいものの見方に触れられ、ESの向上が期待できるでしょう。
ES・CSについて理解し、まずは労働環境の改善を!
ESは従業員満足度を、CSは顧客満足度を表す指標です。双方の関係性は深く、CSの向上にはESの向上が欠かせません。そんなESを向上する方法は以下のとおりです。
- ■福利厚生の整備
- ■ビジョンの共有
- ■コミュニケーションの活性化
ES・CSの違いを正しく理解し、CSを向上させるためにもまずは労働環境の改善に努めましょう。